仕事でケアレスミスを繰り返す、約束や締め切りを忘れてしまう、時間どおりに行動するのが苦手……。こうした困りごとが続き、「もしかして大人のADHDかもしれない」と感じている人もいるのではないでしょうか。
大人のADHDは、オンライン診療でも医師に相談できます。ただし、オンラインで相談できることと、オンラインだけで確定診断や必要な検査まで受けられることは別です。 医療機関によっては、すでに診断を受けた人の継続治療を中心に対応しており、新たな診断や心理検査には対応していません。
また、ADHDの治療薬には処方や流通管理に条件があるものもあります。この記事では、オンライン診療で相談できる内容、診断の流れ、薬の注意点、受診先の選び方を解説します。
- 大人のADHDについて、オンラインで症状や治療を相談できる
- 新規診断や心理検査に対応できるかは医療機関によって異なる
- コンサータやビバンセには、医師・医療機関・薬局などに関する流通管理上の条件がある
- セルフチェックは受診の参考になるが、結果だけでADHDと診断することはできない
大人のADHDとは?よくある困りごと
ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意・多動性・衝動性を主な特徴とする発達症の一つです。子どもの頃から特性がみられていても、社会人になって仕事や家事などの役割が増えたことで、初めて困りごとが目立つ場合があります。
不注意・多動性・衝動性の3つの特性
ADHDの主な特性は、不注意・多動性・衝動性の3つです。不注意には、うっかりミスが多い、忘れ物をする、物事を順序立てて進めるのが苦手といった傾向があります。多動性は、じっとしていることが難しい、落ち着かずそわそわするといった形で現れることがあります。衝動性には、相手の話を最後まで聞かずに発言する、考える前に行動してしまうなどの傾向があります。
どの特性がどの程度みられるかは人によって異なり、すべてに当てはまるわけではありません。また、こうした行動があるだけでADHDと決まるわけでもありません。症状がいつから続いているか、家庭や職場など複数の場面で困難が生じているか、生活にどの程度影響しているかなどを踏まえて、医師が総合的に評価します。
大人になって気づくことが多い困りごと
大人のADHDでは、仕事の締め切りを守れない、会議の内容を忘れる、メールの返信を後回しにしてしまう、予定を詰め込みすぎるといった困りごとがみられることがあります。家では片付けや家計管理が苦手だったり、鍵や財布などを頻繁に探したりする人もいます。本人の努力だけでは改善しにくく、仕事や人間関係に支障が出て初めて受診を考えるケースもあります。
ただし、忙しさや睡眠不足、ストレスなどによっても、集中力や時間管理の能力は低下します。困りごとがあるからといって、必ずしもADHDとは限りません。大切なのは、自分を「だらしない」「努力が足りない」と責めることではなく、どのような状況で何に困っているのかを具体的に把握することです。困難が続いている場合は、医療機関で相談する選択肢があります。
うつ病や不安障害を併せ持つことも多い
ADHDのある人は、うつ病や不安症などを併せ持つことがあります。仕事での失敗が続いて自信を失ったり、周囲との関係に悩んだりすることで、気分の落ち込みや不安、不眠などが生じる場合もあります。千葉大学の研究発表でも、ADHDのある人にはうつ病や不安症、依存症などを併せ持つケースがあると紹介されています。
一方で、集中できない、作業が進まない、忘れっぽいといった症状は、うつ病や睡眠の問題などでも現れることがあります。そのため、今ある困りごとだけでADHDかどうかを判断することはできません。医師には、仕事や生活での問題に加え、気分の落ち込み、不安、睡眠の変化なども伝えるようにしましょう。複数の症状をまとめて相談することで、必要な評価や治療につながりやすくなります。
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大人のADHDはオンライン診療で相談できる?
大人のADHDについて、オンライン診療で症状や生活上の困りごとを相談することは可能です。ただし、診断や検査、薬の処方に対応できる範囲は医療機関によって異なります。予約前に、新規診断が可能か、継続治療のみか、必要な場合に対面診療へつなげられるかを確認しましょう。
オンライン診療でできること
オンライン診療では、仕事や日常生活で困っていること、症状が始まった時期、子どもの頃の様子、現在の気分や睡眠などを医師に伝えられます。診察を通じて、ADHDの可能性やほかの原因について相談したり、生活上の工夫や治療の選択肢について説明を受けたりできます。医療機関や診療内容によっては、すでに診断を受けている人の薬物療法の継続や、関連する不眠・不安などの相談にも対応しています。
ただし、すべての医療機関でADHDの新規診断や心理検査、治療薬の処方まで受けられるわけではありません。問診だけでは評価が難しい場合や、検査・対面での評価が必要な場合は、医療機関への受診を案内されることがあります。受診先を選ぶ際は、「ADHDの相談に対応」と書かれているかだけでなく、希望する診療内容まで対応しているかを確認しましょう。
オンラインでの認知行動療法にも効果が示されている
千葉大学の研究グループは、ADHDと診断され、通常の診療として薬物療法を受けても症状が残る成人30人を対象に、オンラインでの個人認知行動療法を通常診療に追加する研究を実施しました。介入群では、自宅からビデオ会議システムを利用し、週1回50分、全12回の認知行動療法を受けています。主要評価指標であるADHD症状スコアが平均27.4点から18.7点へ有意に改善したと報告されています。
この研究は、オンラインでの認知行動療法が、ADHDのある成人に対する支援の選択肢になり得ることを示すものです。ただし、対象者は30人と限られ、薬物療法を受けても症状が残る人を対象とした研究であるため、すべての人に同じ効果が得られると示したものではありません。また、一般的なオンライン診療サービスで同じプログラムを受けられるとは限りません。利用したい場合は、ADHDに対する認知行動療法を実施しているかを確認しましょう。
対面での受診が必要になるケース
オンライン診療では、医師が画面越しの問診だけでは十分な評価が難しいと判断した場合や、心理検査・身体検査などが必要な場合に、対面受診を勧められることがあります。ADHDの診断では、現在の症状だけでなく、子どもの頃からの特性や生活への影響、ほかの疾患の可能性などを確認する必要があります。心理検査が必要と判断された場合も、受診先によっては対面の医療機関で受けることになります。
また、薬によっては登録された医師や医療機関、薬局での取り扱いが求められ、オンライン診療では処方できないものがあります。たとえば、コンサータやビバンセには適正使用のための流通管理制度が設けられています。
オンラインで相談できることと、希望する薬を処方してもらえることは別です。受診前に対応範囲を確認し、必要であれば対面診療も含めて治療方法を考えましょう。
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大人のADHDの診断の流れ
大人のADHDの診断では、現在の困りごとだけでなく、子どもの頃からの行動や生活への影響、ほかの疾患の可能性などを確認します。初診だけで診断が確定するとは限らず、複数回の診察や追加評価が必要になる場合もあります。
問診では子どもの頃の様子も聞かれる
診察では、仕事や家事で困っていること、忘れ物やミスの頻度、時間管理の苦手さなど、現在の状況について質問されます。また、ADHDの特性は子どもの頃からみられるため、学校生活や家庭での様子、忘れ物や落ち着きのなさなどについても確認されることがあります。
子どもの頃の記憶が曖昧でも、無理に思い出す必要はありません。通知表や連絡帳、母子手帳など、当時の様子がわかる資料があれば参考になる場合があります。家族など、幼少期を知る人から話を聞ける場合もありますが、必ず用意しなければならないわけではありません。
受診前には、具体的な困りごとを「いつ・どこで・何が起きたか」の形でメモしておくと説明しやすくなります。たとえば「締め切りを何度も忘れてしまい、仕事に支障が出ている」など、生活への影響を伝えましょう。
心理検査を受けることもある
ADHDの診断では、医師による問診や生活歴の確認を中心に、必要に応じて心理検査などを組み合わせることがあります。心理検査には、知的能力や認知機能の特徴を調べるものなどがあり、診断の補助や、本人に合った支援方法を考えるために役立つ場合があります。ただし、特定の検査を受ければ、それだけでADHDかどうかが確定するわけではありません。
オンライン診療で心理検査まで実施できるかは、医療機関によって異なります。問診や診察はオンラインで受けられても、検査は対面の医療機関で行う必要があるケースもあります。予約前に、ADHDの新規診断に対応しているか、必要な検査を受けられるか、対面診療への紹介が可能かを確認しておきましょう。
診断がつくまでにかかる期間の目安
大人のADHDは、初診ですぐに診断が確定する場合もあれば、複数回の診察や追加の評価を経て判断される場合もあります。現在の症状だけではなく、子どもの頃からの経過や複数の場面での困りごと、睡眠や気分の状態などを確認するためです。症状がほかの疾患によるものではないか、併存する問題がないかも含めて評価します。
診断までの期間は一律ではなく、医療機関の診療体制や必要な検査、これまでの治療歴によって異なります。オンライン診療の場合も、初診から何日で確定診断が出ると決まっているわけではありません。仕事などの都合で診断書が必要な場合は、受診時に事情と希望する時期を伝え、対応できるか相談しましょう。
- 初診・問診現在の困りごと、生活への影響、子どもの頃の様子、既往歴などを確認する。
- 必要に応じた追加評価心理検査や対面診療など、医師が必要と判断した評価を受ける。
- 診断・治療方針の相談診察結果を踏まえ、薬物療法や生活上の工夫、心理的支援などを相談する。
- 経過観察治療や工夫を続けながら、症状や生活上の困りごとの変化を確認する。
※実際の流れや必要な検査、受診回数は医療機関や症状によって異なります。
大人のADHDで処方される薬とオンライン診療での注意点
ADHDの薬物療法では、症状や体調、既往歴などを踏まえて薬を選びます。ただし、薬によって処方条件や流通管理の仕組みが異なり、オンライン診療で初診から処方できるとは限りません。特にコンサータやビバンセは、取り扱いに関する条件を確認しておく必要があります。
| 薬の名前 | 種類 | オンライン診療での注意点 |
|---|---|---|
| コンサータ | 中枢神経刺激薬 | 登録された医師・医療機関・薬局などによる流通管理が必要。初診のオンライン診療では処方できない |
| ビバンセ | 中枢神経刺激薬 | 適正流通管理制度があり、登録された医師・医療機関・薬局などでの取り扱いが必要。初診のオンライン診療では処方できない |
| ストラテラ | 非中枢神経刺激薬 | 医師の診察と判断が必要。オンライン診療での処方可否は診療状況や医療機関の対応による |
| インチュニブ | 非中枢神経刺激薬 | 医師の診察と判断が必要。オンライン診療での処方可否は診療状況や医療機関の対応による |
※初診のオンライン診療では、麻薬・向精神薬の処方が禁止されています。また、基礎疾患などの情報が十分に把握できていない場合には、処方できない薬があります。個々の薬の取り扱いは、医師の判断と最新の公的情報・添付文書に従います。
コンサータ・ビバンセは取り扱いに条件がある
コンサータとビバンセは、中枢神経刺激薬に分類されるADHD治療薬です。適正使用と不適切な流通を防ぐため、通常の処方薬とは異なる流通管理制度が設けられています。コンサータでは登録された医師・医療機関・薬局などでの取り扱いが必要で、ビバンセにも同様に登録や患者情報の管理などの仕組みがあります。
さらに、厚生労働省の案内では、初診のオンライン診療で麻薬や向精神薬を処方することは認められていません。そのため、オンラインで初めて受診して、コンサータやビバンセをすぐに処方してもらうことはできません。これらの薬を希望する場合は、取り扱いに対応した医療機関で診察を受ける必要があります。
ただし、条件を満たす医療機関を受診すれば必ず処方されるわけではありません。診断や治療歴、症状、薬の安全性などを踏まえて医師が判断します。薬を希望している場合は、受診先に取り扱いの有無や診療方法を事前に確認しましょう。
ストラテラ・インチュニブなどは医師の判断で処方される
ストラテラ(アトモキセチン)やインチュニブ(グアンファシン)は、コンサータやビバンセとは異なる種類のADHD治療薬です。薬の選択は、症状の特徴や年齢、既往歴、併用薬などを踏まえて医師が判断します。これらの薬も副作用や注意すべき点があるため、自己判断で服用を始めたり、量を変えたりすることはできません。
オンライン診療で処方できるかどうかは、薬の種類だけで決まるものではありません。初診か再診か、診断や治療歴が確認できるか、医師がオンラインで安全に診療できると判断するかなどによって異なります。他院でADHDの診断・処方を受けた人の継続処方に限り、ストラテラやインチュニブを扱うと案内しているサービスもあります。
すでに服用している薬がある人は、薬名や用量、処方元がわかる資料を用意し、予約前に継続処方の可否を確認しましょう。
初診のオンライン診療では処方に制限がある
厚生労働省は、初診からのオンライン診療では麻薬や向精神薬を処方できないと案内しています。また、基礎疾患などの情報が把握できていない患者に対する、一部の安全管理が特に必要な薬や、8日分以上の処方にも制限があります。
そのため、「オンライン診療でADHDを相談できる」と記載されていても、すべてのADHD治療薬を初診から処方してもらえるとは限りません。特に、コンサータやビバンセなど特定の薬を希望している場合は、初診時の処方条件と流通管理制度の両方を確認する必要があります。
また、薬を処方するかどうかは、医師が診察したうえで判断します。症状や治療歴を十分に確認できない場合は、処方を見送ったり、対面診療を案内したりすることもあります。薬の名前だけで受診先を決めず、新規診断への対応や検査の有無も含めて確認しましょう。
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大人のADHDのオンライン診療クリニックの選び方
大人のADHDに対応するオンライン診療を選ぶ際は、診療対象にADHDと書かれているかだけでなく、新規診断や心理検査、薬の継続処方など、希望する内容に対応しているかを確認しましょう。初めて受診する人と、すでに診断を受けて治療中の人では、利用できるサービスが異なる場合があります。
ADHDの診療に対応しているか
まず確認したいのは、ADHDについてどこまで対応しているかです。「ADHDの相談に対応」と案内されていても、診察で困りごとを相談できるだけなのか、新規の確定診断まで行うのか、すでに診断を受けた人の継続治療が中心なのかは、医療機関によって異なります。
たとえば、オンライン診療サービスのemolドクターは、公式サイトでADHDの新規確定診断・再診断は行っておらず、他院で診断を受けた人の継続治療などに対応すると案内しています。
+1 一方、ADHDの症状について医師に相談できるサービスでも、検査や対面評価が必要と判断されれば、別の医療機関を案内される場合があります。
初めて診断を受けたい人は、予約前に「ADHDの新規診断が可能か」「必要な検査は受けられるか」「対面受診が必要な場合の紹介先があるか」を確認しましょう。診断済みの人は、現在の薬の継続処方や経過観察に対応しているかが重要です。
心理検査を受けられるか
ADHDの診断では、医師による問診や生活歴の確認が重要です。必要に応じて心理検査などを行い、認知機能の特徴や得意・不得意を把握する場合もあります。ただし、心理検査はすべての人に同じ内容で実施されるわけではなく、検査結果だけで診断が決まるものでもありません。
オンライン診療では、医師の問診は受けられても、心理検査や身体検査には対応していないサービスがあります。たとえば、emolドクターは提携医療機関で心理検査などを実施していないため、ADHDの新規確定診断・再診断を行っていないと公式サイトで案内しています。
初めて診断を受けたい場合は、オンラインで初診を受けられるかだけでなく、必要な検査を実施できるか、対面の医療機関へ紹介してもらえるかも確認しましょう。検査のために通院が必要になる場合もあるため、予約前に診療の流れを把握しておくと安心です。
対面のクリニックと連携しているか
オンライン診療は自宅から受診できる一方で、症状や診療内容によっては対面での診察や検査が必要になります。特に、ADHDの新規診断に必要な評価や、オンラインでは処方できない薬について相談したい場合は、対面診療へ切り替えられる体制があるかを確認しましょう。
確認したいのは、単に提携先があるかどうかだけではありません。紹介先で心理検査を受けられるか、診察の予約方法はどうなっているか、オンラインでの診療情報を引き継げるかなど、実際に対面受診が必要になったときの流れも重要です。
また、コンサータやビバンセなどは、取り扱いに関する流通管理上の条件があります。オンライン診療で相談できても、希望する薬を処方できるとは限りません。治療の選択肢を狭めないためにも、受診先の対応範囲と、必要時に利用できる対面医療機関を確認しておきましょう。
保険診療かどうか
オンライン診療の費用は、保険診療か自由診療かによって異なります。保険診療では、健康保険の自己負担割合に応じて診察料などが決まりますが、オンライン診療では、医療機関によって情報通信機器などの利用料が別途かかる場合があります。薬代や診断書などの文書料も、診察料とは別に必要になることがあります。
自由診療の場合は、診察時間やサービス内容に応じて料金が設定されることがあり、保険診療より費用が高くなるケースもあります。初診料だけで判断せず、再診料、薬代、検査費用、診断書の料金なども含めて確認しましょう。
また、保険診療であることと、希望する検査や薬に対応していることは別です。費用を比較するときは、保険適用の有無に加え、ADHDの新規診断に対応しているか、継続処方が可能か、必要時に対面診療へつなげられるかも確認することが大切です。
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受診前にできる大人のADHDセルフチェック
仕事のミスや忘れ物が続くと、「自分はADHDなのでは」と気になることもあるでしょう。受診前に症状を振り返る方法の一つが、成人期ADHDの自己記入式症状チェックリスト(ASRS-v1.1)です。ただし、セルフチェックは診断を確定するものではなく、医療機関に相談する際の参考として利用します。
成人期ADHDの自己記入式症状チェックリスト(ASRS)とは
ASRS-v1.1は、成人のADHDに関連する症状を自分で振り返るためのチェックリストです。過去6か月間の行動について、物事を順序立てて進めるのが難しい、約束や用事を忘れる、集中が必要な作業を先延ばしにするといった項目に回答します。回答を通して、日常生活でどのような困りごとが生じているかを整理できます。
ASRSは、ADHDの可能性を調べるためのスクリーニングに用いられますが、結果だけで診断が確定するわけではありません。集中力の低下や忘れっぽさは、睡眠不足やストレス、うつ病などでも起こることがあります。チェック結果が気になる場合は、回答を保存して医師に見せると、具体的な症状を伝える助けになります。
チェックリストは、武田薬品工業「大人の発達障害ナビ」のASRSチェックリストなどで確認できます。症状が生活や仕事に影響している場合は、結果にかかわらず医療機関に相談して構いません。
受診のときに伝えるとよいこと
診察では、チェックリストの結果だけでなく、実際にどのような場面で困っているかを伝えることが大切です。たとえば「仕事のメールを返信し忘れる」「締め切り直前まで作業に取りかかれない」「約束の時間に間に合わないことが多い」など、具体的な出来事を整理しておくと、医師が状況を把握しやすくなります。
あわせて、こうした困りごとがいつ頃から続いているか、子どもの頃にも似た傾向があったか、仕事や家庭生活にどのような影響が出ているかを振り返ってみましょう。睡眠や気分の変化、現在服用している薬についても、診断を考えるうえで参考になります。
すべてを正確に思い出せなくても問題ありません。メモに書き出しておけば、診察中に緊張して話しにくくなった場合にも役立ちます。オンライン診療を受ける場合は、事前問診に困りごとを具体的に記入しておくとよいでしょう。
大人のADHDのオンライン診療に関するよくある質問
オンライン診療を検討する際には、診断を受けられるか、薬を処方してもらえるか、保険が使えるかなどが気になるところです。ここでは、受診前に知っておきたい疑問に回答します。
オンラインだけでADHDと診断してもらえる?
オンライン診療でも、医師が問診や生活歴などを確認し、ADHDの可能性について評価することはできます。ただし、すべての医療機関が新規の確定診断に対応しているわけではありません。心理検査などを実施していない医療機関では、新規診断や再診断を行わず、すでに診断を受けた人の継続治療を中心に対応する場合もあります。
診断では、現在の症状だけでなく、子どもの頃からの経過や生活への影響、ほかの疾患の可能性なども確認します。必要に応じて対面診療や心理検査が案内されることもあるため、初診の予約前に新規診断への対応範囲を確認しましょう。
コンサータはオンラインで処方してもらえる?
コンサータは、適正使用のために登録された医師・医療機関・薬局などで取り扱う仕組みが設けられています。さらに、初診のオンライン診療では向精神薬を処方できないため、オンラインで初めて受診してコンサータをすぐに処方してもらうことはできません。
コンサータを希望する場合は、取り扱いに対応した医療機関で診察を受け、医師に相談する必要があります。ただし、受診すれば必ず処方されるわけではなく、診断や治療歴、症状、安全性などを踏まえて医師が判断します。受診先を探す際は、処方の可否だけでなく、診断や検査に対応しているかも確認しましょう。
診断書はもらえる?
診断書を発行できるかどうかは、医師の診察結果や医療機関の対応によって異なります。オンライン診療でも診断書の相談ができる場合はありますが、診察を受ければ必ず発行されるわけではありません。診断が確定していない場合や、医師が書類の発行に必要な情報を十分に確認できない場合には、発行が難しいこともあります。
仕事で必要な場合は、休職や勤務上の配慮など、何のために診断書が必要なのかを医師に伝えましょう。職場から指定された書式がある場合は、事前に用意しておくと相談しやすくなります。また、診断書の発行費用や受け取り方法、発行までの日数も医療機関によって異なるため、予約前に確認しておくと安心です。
保険は使える?
ADHDの診療は、保険診療を行っている医療機関であれば、健康保険を利用できる場合があります。ただし、オンライン診療サービスには自由診療のものもあるため、すべてのサービスで保険が使えるわけではありません。また、保険診療であっても、オンライン診療に関するシステム利用料や診断書の発行料などが別途かかることがあります。
費用を確認する際は、初診料・再診料だけでなく、情報通信機器などの利用料、検査費用、薬代、診断書の料金も確認しましょう。ADHDの診療に対応していることと、新規診断や心理検査まで受けられることは別なので、費用とあわせて診療範囲も確認することが大切です。
ASD(自閉スペクトラム症)もオンラインで相談できる?
ASD(自閉スペクトラム症)についても、オンライン診療で困りごとを相談できる場合があります。対人関係での難しさ、予定の変更への対応、感覚の過敏さなどが気になる場合は、具体的な場面や生活への影響を医師に伝えましょう。ADHDとASDの両方の特性がみられることもあるため、気になる症状をまとめて相談して構いません。
ただし、ASDの新規診断や心理検査に対応しているかは医療機関によって異なります。オンラインで問診を受けられても、詳しい評価のために対面診療や検査が必要になる場合があります。予約前に、ASDの診断に対応しているか、必要な検査を受けられるかを確認しましょう。
まとめ
大人のADHDは、オンライン診療でも症状や生活上の困りごとを相談できます。ただし、オンラインで受診できることと、新規の確定診断や心理検査、希望する薬の処方まで受けられることは同じではありません。
受診先を選ぶ際は、次の点を確認しましょう。
- ADHDの新規診断に対応しているか、診断後の継続治療が中心か
- 必要な心理検査や対面診療につなげられるか
- 希望する薬の処方条件を満たしているか
- 保険診療の有無と、診察料以外にかかる費用
コンサータやビバンセには適正使用のための流通管理制度があり、初診のオンライン診療では処方できません。ストラテラやインチュニブなども、オンラインで処方できるかどうかは診療状況や医師の判断によります。
仕事のミスや時間管理の難しさなどが続いているなら、まずは困りごとをメモし、医療機関に相談することから始めてみましょう。セルフチェックは受診の参考になりますが、結果だけで自分をADHDだと決めつける必要はありません。
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